お茶の賞味期限や、美味しくお茶をご賞味いただくためのコツをご案内いたします。
茶葉というものは、その乾燥した姿から、賞味期限や消費期限をあまり気にしなくてもいいのではと思われる方も少なくないかもしれません。しかし、お茶も食品ゆえ、早めにご賞味いただいた方が、その風味を存分にお愉しみいただけます。お茶の賞味期限のご案内と合わせて、もしも賞味期限が切れてしまった場合のお茶の活用方法をご紹介いたしますので、ぜひお試しください。
お茶の賞味期限
お茶には、美味しく召し上がっていただける期間、すなわち「賞味期限」というものがあります。封を開ける前と開けた後、茶葉の風味が落ちてしまうはやさには差があります。
開封前
一般的に、お茶の賞味期限は半年から1年程度ですが、各お茶屋さんごとや商品ごとに異なるため、詳しい賞味期限はパッケージに記載されている内容をご確認ください。
弊社「祇園辻利」では、お茶の賞味期限を製造日から起算して180日と設定しています(抹茶は60日)。開封前であっても、できるだけ早めにご賞味いただくことをおすすめしています。
開封後
一度開封しますと、賞味期限内に限らず、すぐに召し上がっていただくことをおすすめします。
また、開封後のものを一時保存する際には、湿度や匂い移りは厳禁です。しっかり密閉された清潔な容器に入れ、冷暗所で保管することをおすすめしております。冷凍庫で保存すると、茶葉が冷凍焼けを起こす可能性がありますので、冷凍庫では保存しないようにしてください。
賞味期限と消費期限の違い
食品の期限表示には、消費期限と賞味期限の2つがあります。
消費期限は、保存方法を守った場合において、腐敗や変質などの品質劣化に伴い安全性を欠くことがない期限を示します。開封前の状態で保存すれば食品衛生上の問題は生じません。消費期限を過ぎた食品は食べないようにしましょう。
賞味期限は、保存方法を守った場合において、期待される品質の保持が十分に可能である期限を示します。ただし、賞味期限は保存方法次第という点にご留意ください。
もしもお茶の品質が落ちてしまったら…
品質が落ちてしまったお茶には、ある一定の特徴があります。見た目・臭い・味の3点でそれぞれの特徴をお伝えいたしましたが、何かいつもと違うなどの違和感があればお気軽にお問合せください。出来る限り、賞味期限内の品質が落ちる前に、お召し上がりいただくことをおすすめいたします。
見た目
茶葉は製造日から日を追うごとに、徐々に白っぽさが加わり、青々しさが失われて「つや」がなくなります。保管の温度などにも影響はされますが、開封後は早くお召し上がりください。
尚、玉露や高級煎茶などによくあるケースとして、茶葉の表面に白い細い糸のような粉が見られる場合がありますが、これはカフェインが結晶化し見えているもので、品質に影響はありません。
香り
茶葉が劣化すると、お茶の青々しい香りはなくなります。匂いが移りやすい茶葉の性質から、脱臭剤のような役割をなしてしまい、近くのものから移り香を起こし、時には生臭い臭いを感じる場合もあります。特に、冷蔵庫で保管された場合は、冷蔵庫内の食品の臭いが移ってしまうため、移り香にご留意ください。
味
風味は日を追うごとに落ちてしまいます。煎茶は澄んだ青いお茶の味から古びたような味に変化し、ほうじ茶は、品質が落ちると酸味が強くなります。移り香した臭いが先に立った場合は、他の食品の臭いが感じられ不快な風味になってしまうケースも。ぜひ、品質が落ちる前に、ご賞味ください。
お茶の保存方法
もちろん、開封後は、すぐに召し上がっていただくことが重要です。一方で、お茶を保存する際には以下のことに気を付けてください。
光・湿気・温度・酸化に留意する
茶葉は「光」「湿気」「高温」「酸化」を避けて保管することが重要です。しっかり密閉できる清潔な容器に入れて、冷暗所に保管してください。尚、容器は清潔に保つように心がけると、容器内での細菌の繁殖を避けることができます。
冷蔵庫で保存する
環境によっては、冷蔵庫内で保管することをおすすめします。冷凍庫で保存すると、茶葉が冷凍焼けを起こす可能性があるため、冷凍庫での保存はおすすめしておりません。尚、冷蔵庫で保管する場合は、2つの留意点があります。まずは冷蔵庫内の他の食品の匂いが移らないよう、密閉した容器でしっかり空気を遮断するように保管してください。また、冷蔵庫から出して召し上がる際は、冷たい状態で開封すると結露した水分を茶葉が吸収してしまうため、一旦常温に戻してから容器を開けるようにしてください。
お茶の賞味期限が切れた後の活用術
保管してあったお茶の賞味期限がいつのまにか切れてしまった、というご経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。もし、お茶の賞味期限が切れてしまったという場合の、茶葉活用術をご紹介いたします。
ほうじ茶にする
そもそも、ほうじ茶とは煎茶や雁ヶ音(茎茶)などの茶葉を、強火で焙煎したものです。茶葉は火を通すことで香りが蘇ることがあります。
そこで、もし煎茶などの茶葉の賞味期限が切れてしまった時は、ほうじ茶に焙煎してみてはいかがでしょうか。焙煎する場合は、炮烙(なければ、フライパンにアルミホイルをひいて)を使い、強火で炒ります。お茶の香ばしい良い香りが蘇り、自分好みの焙じ具合でお召し上がりいただけることでしょう。
消臭剤
前項でもご案内しましたが、移り香しやすい特性から、消臭剤のような役割を果たします。そのため、賞味期限が切れてしまい飲めないという茶葉は、フタのないトレーなどに入れて、消臭剤としてご活用いただけます。
掃除等に活用する
日本家屋における掃除方法として、生乾きの茶殻を使ってたたみをきれいにするという方法があります。賞味期限がきれた茶葉を一度抽出した上で、絞った生乾き状態の茶葉を畳の上にまき、箒(ほうき)で掃くと、茶殻が汚れを吸着し、ほこりやごみが飛び散ることなく掃除できます。ただし、茶渋がついてしまう可能性がありますので、ご留意ください。
入浴剤
煎茶など緑茶の成分に含まれるカテキンは、殺菌作用に優れていることから、入浴剤として使われることがあります。さらに、布に茶葉を入れて、体を洗う際に使う方もおられます。ただし、入浴剤として使う際には、茶渋が多く浴槽を染める可能性が考えられるため、一度抽出した茶殻を利用することをおすすめいたします。
以上、お茶の美味しくお召し上がりいただく期間について、また、賞味期限が切れてしまった場合の活用方法について、ご案内して参りました。
製造日から日を追うごとに品質が落ちてしまうことから可能な限り早めにお召し上がりいただくことをおすすめしますが、いつのまにか賞味期限が切れてしまったという場合には、捨ててしまうのではなく、ご紹介した活用方法をぜひお試しください。
京都・祇園に本店を構える祇園辻利は、創業1860年の宇治茶専門店。茶葉には色々な味わいがあり、抹茶には色々な愉しみ方があります。京都・祇園の風情とともに、本当に美味しい宇治茶を味わっていただくことが私たちの喜びです。店舗やオンラインショップへのご来店をお待ちしております。