令和6年「壷切茶(つぼきりちゃ)」の味筋について

壷切茶(つぼきりちゃ)とは、初夏「八十八夜」の時期に摘み取られた新茶を、夏のあいだじっくりと寝かせた熟成茶。
農作物であるお茶は、その年ごとの天候によって味わいが変わります。
それゆえに祇園辻利では、品種や採取場所などが異なる数種類の茶葉を「合組」という工程でブレンドし、一定の味筋になるよう整えています。
壷切茶の「煎茶」について、それぞれの味わいの特長をご紹介します。
目次
「秋一番」の特長
旨みを中心に透明感のあるバランスの取れた味わいが特長の加茂町産オクミドリ+宇治田原町産アサノカに、色・香り・味の三拍子が揃っており、玉露にも似た旨みのある和束町産ウジヒカリをブレンド。
タイプの異なる旨味を合わせて、一切の雑味が無く熟成したお茶による満足感のある一杯を愉しめるブレンドに仕上げました。
オクミドリ:加茂町産・30%
アサノカ :宇治田原町産・10%
ウジヒカリ:和束町産・60%
「特選壷切茶」の特長
熟成による旨みはありつつもわずかにほろ苦さがある上品な味わいが特長の加茂町産オクミドリ+宇治田原町産アサノカに、濃厚でまったりとした旨みのある和束町産オクミドリ+和束町産ヤブキタをブレンド。口に含んだ時に鼻からふわっと抜ける香りと、口全体に広がる旨味、うま味の後にくるわずかなほろ苦さが心地よい余韻となるブレンドに仕上げました。
オクミドリ:加茂町産・30%
アサノカ :宇治田原町産・10%
オクミドリ:和束町産・30%
ヤブキタ :和束町産:30%
「壷切茶」の特長
穏やかな旨みでまろやかさのある和束町産オクミドリ+宇治田原町産アサノカを中心に、2種の異なるヤブキタをブレンド。煎茶の心地よいほろ苦さと飲みごたえのある力強さを加えることで単体では出せない味の奥行きを表現。熟成による旨みと、煎茶の特長である軽やかな渋味・苦味を感じられるブレンドに仕上げました。
アサノカ :宇治田原町産・25%
オクミドリ:和束町産・45%
ヤブキタ :和束町産・15%
ヤブキタ2:和束町産・15%
品種の特徴
ヤブキタ:最も一般的な品種。旨味渋味のバランスが良い。
オクミドリ:覆い下栽培をすることで、葉の緑色が濃くなり、旨味を増す。やや渋味を持つ。
アサノカ:被覆栽培との相性が良く旨味が強い。火入れしても苦味・えぐみが出にくい。
ウジヒカリ:被覆栽培向けで色・香り・味と三拍子そろった京都生まれの品種。
(写真提供:京都府茶業研究所)
産地の特徴
和束町
町内の中心部に川が流れており、昼夜の寒暖差により発生する霧が自然の遮光になり高品質なお茶が生産される。代表的品種のやぶきた以外にも50~100の多品種が栽培されている。京都府のお茶生産の49%を占める一大産地。
(写真提供:和束町)
加茂町
宇治茶栽培始まりの場所と言われており、日本遺産「日本茶 800 年の歴史散歩」の構成文化財となっている。甘み・旨みのあるまろやかな味わいをもつお茶が多く生産されている。
(写真提供:木津川市)
宇治田原町
現在の茶製法のもととなる「青製煎茶製法(宇治製法)」が生み出された地域。山間の山なり茶園が多く、昼夜の寒暖差により香り豊かなお茶が生産されている。
(写真提供:宇治田原町)
「壷切茶」へのお客様の声
一年を通して最も美味しいと長年ご愛顧くださっているお客様が多く、嬉しいお声もたくさん頂戴しております。
★★★★★
新茶とは違って「まろやかなコクとうまみ」が秋の深まりを感じます。
★★★★★
壷切茶は特別な感じがするため、半年分買い占めています。
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東京の友人にプレゼントすると、それが大変喜ばれます。
★★★★★
壷切茶を飲むと、今年も暑い夏を乗り切ることができたと、季節の移り変わりを感じられます。